仙台地方裁判所 昭和43年(わ)355号 判決 1969年3月19日
本店の所在地
福島市大町一番二二号
商号
有限会社 日東商事
代表者
代表取締役 前沢敏彦
本籍
横浜市鶴見区東寺尾町一六一七番地
住所
仙台市角五郎二丁目五番二号
職業
会社役員
氏名
前沢敏彦
年令
昭和五年三月一八日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官中村勲出席して審理の上次のとおり判決する。
主文
(一) 被告会社を罰金二五〇万円に処する。
(二) 被告人前沢を懲役六月に処する。
但し、本裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
右期間中保護観察に付する。
理由
(罪となる事実)
当裁判所の認めた事実は起訴状記載の公認事実と同一であるからこれを引用する。
(証拠の標目)
一、収税官吏佐藤忠夫作成の簿外売上領調査書および簿外預金調査表
二、同じく関谷寿および渡辺猪三男の各質問てん末簿
三、収税官吏瀬川永作成の修正確定申告書および未納事業税計算書各三通
四、同じく減価償却費計算書と保険差益の圧額記帳およびこれに伴う減価償却額の調査書
五、同じく脱税額計算書三通
六、押収した法人税確定申告書三綴(昭和四三年押第九五号の一ないし三)、総勘定元帳四冊(同号の四ないし七)、手帳三冊(同号の八、九、一三)、店舗別売上計算メモ一袋(同号の一〇)日記帳一冊(同号の一一)および売上表一綴(同号の一二)
七、検察官作成の被告人の供述調書二冊
八、当公判廷における安部忠雄の証言および被告人前沢敏彦の供述
(法令の適用)
被告人前沢の第一ないし第三の行為は、法人税法第一五九条第一項、第七四条第一項に各該当するが、右は刑法第四五条前段の併合罪であるから所定書中各 刑を選択し、同法第四七条、第一〇条により法廷の加重をなした刑期範囲内で同被告人を懲役六月に処し、情状により同法第二五条第二項、第二五条の二第一項を適用して本裁判の確定の日から三年間右刑の執行を猶予し、その期間中保護観察に付する。なお、被告会社に対しては、各事実につき法人税法第一六四条第一項を適用し、刑法第四八条第二項により罰金の合算額以内で同会社を罰金二五〇万円に処する。
(裁判官 畠田郁朗)
公訴事実
被告会社は、福島市大町一番二二号に本店を置いて喫茶業等を営む有限会社、被告人前沢敏彦は、右会社の代表取締役としでその業務全般を統轄しているものであるが、被告人は被告会社の業務に関し、法人税を免れる目的で、売上金額の一部を公表帳簿に計上せず、これによつて得た資金を架空名義の簿外預金とする等の不正の方法により、
第一、昭和三九年一〇月一日から同四〇年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実業の所得金額が一七、五八七、五七二円、これに対する法人税額が六、三二五、一〇〇円であつたのにかかわらず、同四〇年一一月三〇日、所轄福島税務署長に対し、右事業年度の所得金額は四、六四六、四四一円、法人税額が一、五三七、〇八〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、被告会社の実際の法人税額と右申告税額との差額四、七八八、〇〇〇円を逋脱し、
第二、昭和四〇年一〇月一日より同四一年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一五、六七一、二五〇円、これに対する法人税額が五、四三九、八〇〇円であつたのにかかわらず、同四一年一一月三〇日、所轄福島税務署長に対し、右事業年度の所得金額は二、六九五、四二三円、法人税額七八八、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、被告会社の実際の法人税額と右申告税額との差額四、六五一、四〇〇円を逋脱し、
第三、昭和四一年一〇月一日から同四二年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一八、六六九、〇三一円、これに対する法人税額が六、三一二、三〇〇円であつたのにかかわらず、昭和四二年一一月三〇日、納税地指定に基く所轄仙台北税務署長に対し、右事業年度の所得金額は七、二二〇、四七三円、法人税額二、三〇五、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、被告会社の実際の法人税額と右申告税額との差額四、〇〇七、一〇〇円を逋脱したものである。